「寝違えて頭痛がつらい」NG行動、対処法、予防法を知ろう
起床時に頸部に痛みを感じれば、それは寝違えかもしれません。寝違えの苦しみは人によって異なるため「痛みが続く」「頭痛もある」などあれば心配です。寝違えたときはどのようなことに注意すればよいのでしょうか。NG行動や対処法を紹介します。
寝違えとは?原因と症状
寝違えとは医学的な病名ではなく、一般的に睡眠時の不自然な寝姿勢などの原因により、起床後に頸部周辺に痛みや違和感を感じる状態のことをいいます。
そもそもこの寝違えとはどのようなものなのでしょうか。原因や症状について考えてみましょう。
寝違えの原因
寝違えの主な原因は、睡眠時の姿勢にあるのではないかと考えられています。
長時間不自然な姿勢をとり続けていれば、頸椎や背骨などへの負担は増大しがちです。炎症を発症しやすい状態となり、目覚めたとき頸部に痛みを感じやすくなります。
通常、体勢がつらければ寝ているときに寝返りを打って調整するといわれます。しかしスペースがなかったり枕が合わなかったりした場合は、思うように寝返りを打てません。不自然な姿勢のまま眠る羽目に陥りやすく、寝違える確率はアップしてしまうかもしれません。
また泥酔していたり極度の過労状態にあったりする場合は、体を動かすことが難しくなります。こちらも不自然な体勢のまま眠り続けることとなりますから、寝違えを発症しやすくなる可能性があります。
軽い張りから吐き気や頭痛まで症状は幅広い
寝違えの症状は単に『首が痛い』にとどまらず、幅広い症状が出ることもあります。
軽度の寝違えなら軽い張りを感じる程度で済みますが、重度の場合は首をわずかに動かしただけでも激痛が走ることがあります。こうなると『駐車中後ろを確認できない』『呼ばれても振り向けない』など、日常生活でさまざまな不都合が生じる可能性もあります。
また寝違えにより首の筋肉が凝り固まってしまうと、血流が悪くなってしまったり、頭痛、めまい、ときには吐き気さえ感じる場合もあるようです。
寝違えの対処法は?
たかが寝違えと思っていると、発症すると想像以上の痛みに苦しむということもあります。「なんとか早く痛みを和らげたい」というときはどのように対処するのが望ましいのでしょうか。
寝違えの対処方法について紹介します。
まずは安静を確保すること
まず大切なのは、不用意に首を動かさないことです。
首を動かしていれば「この位置なら大丈夫」「ここは無理」というポイントが分かってくるのではないでしょうか。首は楽に感じる位置に固定し、それ以上刺激や負担を与えないようにすることが大切です。
また、運転や電車での移動は頸部にかかる負担も大きいといわれます。仕事や用事があったとしても、できる限り自室で安静にするのが望ましいでしょう。
自分に無理のない範囲で、刺激を避けてゆっくりと過ごせるよう工夫してみましょう。
熱があるときは冷却や湿布
寝違えは炎症の一種といわれているため、熱感があるときはさらに温めるよりも冷やすのがベターです。
保冷剤や冷湿布などで患部を冷たくすると、激しい痛みが少しずつ和らぎやすくくなるといわれます。とくに熱を持っているときは、早急に冷却するのがおすすめです。
ただしこのとき、長時間のアイシングは避けましょう。冷やしていると痛みが軽減されていくと感じるため、長く冷やし続けてしまう人がいます。しかし患部を長く冷却しすぎると血行が悪くなり、回復の妨げになる可能性もあります。
腫れや痛みが引いてきたら「冷やすより温めるのが望ましい」とは一般的によくいわれる言葉です。寝違えを早く治したいなら、『冷やす→温める』をうまく使い分けることが大切です。
痛みが強い場合
寝違えによる痛みが強い場合は、首をきちんと固定することで痛みや不快感を軽減できる可能性があります。固定に使われるものは一般的に首用のサポーターやコルセットなどありますが、ないときはタオルやマフラーをしっかり巻いて代わりにしましょう。顎が下に落ちにくくなり、首を固定しやすくなります。
また「外見上の見栄えが気になる」という人は、腰部にコルセットを巻いて固定するのもおすすめです。こうすることで背骨が前屈みになりにくく、真っ直ぐな姿勢をキープしやすくなると考えられます。正しい姿勢によって頸部への負担が少なくなれば、痛みが抑えられるかもしれません。
寝違えのときのNG行動
寝違えたときは「早く治したい」という気持ちが働くため、ついつい自己流で対処しがちです。しかし安易に実行すると症状を悪化させるケースも多いため、注意しなければなりません。
寝違えたときはどのような行動を控えるべきなのでしょうか。
温めてはいけない
一般的に腰痛や肩こりでは「温めた方がよい」とも聞きますし、寝違えたとき「温めるべきか、冷やすべきか」と迷う人は少なくありません。
しかし、強い痛みがある、腫れがあるなど炎症を起こしている可能性のある部分を温めると、症状が悪化する可能性があります。痛みが和らぐどころか激しくなるおそれもあるので、温湿布などの使用は避けておくほうが安心です。
朝起きて寝違えていたらまずは安静に過ごすことを一番に、熱感があったり痛みがひどい場合は温めてはいけないと覚えておくのがよいでしょう。
繰り返す場合や治らない場合は病院に
ごく一般的な寝違えであれば、時間が経てば症状が軽くなり治癒していくことがほとんどといわれています。しかし寝違えを繰り返したり数週間経っても症状が治まらなかったりする場合は、ほかの原因も考えられるため専門医に相談することをおすすめします。
寝違えが慢性化している場合は「眠るときなぜいつも不自然な姿勢になってしまうのか」を考える必要があります。
もしかしたら過度の疲労やストレスで体がこわばり、不自然な姿勢のまま寝ざるを得ないのかもしれません。あるいは体にどこか不調があり、寝返りを打ちにくくなっているケースもあるでしょう。
早急な治療が望ましい場合もあるので、「たかが寝返り」と安易に考えないことが大切です。
寝違えを予防するには
寝違えを予防する最もよい方法は『不自然な姿勢で寝ないこと』です。朝快適に目覚めるには、どのようなポイントに注意すればよいのでしょうか。
寝具の見直し
寝具は就寝中の姿勢を大きく左右すると考えられます。寝具を変えたら寝違えしたという場合は、寝具が合っていないのかもしれません。早急な見直しがおすすめです。
まずマットレスは自然な寝返りを促してくれるものが好ましいといえます。適度に反発力があり体が沈み込まないものがよいでしょう。
また、枕は顎が沈みすぎたり上がりすぎたりせず、適度な高さをキープできるものがおすすめです。合わない枕を使っていると頸部にかかる負担は大きくなるといわれます。
最適な固さ・高さ・柔らかさ・形状は人によって異なるので、自分の頭の形や体形に合うものを見つけましょう。
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環境の見直し
人間の体は冷えると動きが悪くなったり固まったりしやすくなるものです。寝違えを防ぐには、部屋の温度を適温に保つことも一案として考えられます。
室温が下がって体が冷たくなりがちな冬はもちろん、クーラーをきかせる夏も注意が必要です。冬は暖房器具を上手に使い、夏はエアコンの温度を下げすぎないようにするなど対策をとってみましょう。
また布団から首や肩が出ていると、どうしても冷えやすくなるものです。掛け布団やタオルケットなどを首までしっかり引き上げて、常に冷えを意識することが必要ではないでしょうか。
アルコールや過労に注意
アルコールを摂取して泥酔状態になっていたり疲れを溜め込んでいたりする場合、就寝中の寝返りは少なくなる可能性があります。
疲労が溜まりすぎて不自然な姿勢で寝ていたり、またその不自然な姿勢で朝までそのまま過ごしてしまうケースもあり、寝違えを起こしやすくなる可能性があります。
また泥酔したり疲れたりしているときは筋肉内の血流の低下など、さまざまな不調を起こしやすい状態になっている可能性もあります。このような場合は就寝前に経口補水液などを摂取すると、ミネラル分と水分を補給でき血流低下などの予防になると考えられます。
寝具は適切に使おう
寝具はただ横たわればよいというものではありません。寝違えを発症したくないなら、正しい使い方を理解しておくことが大切です。
寝具の適切な使い方を紹介します。
枕の正しい使い方
仰向きで枕を使うときは、マットレスと首の隙間を埋めるようにセッティングするのがおすすめです。
人間の首は一直線に伸びているわけではなく緩やかなカーブを描いており、仰向きに横たわるとマットレスと首の間には隙間ができるのが一般的といわれています。頸部への負担を軽減を目指すなら、マットレスと首の隙間を支えてあげることも重要といわれます。
枕を購入する際、お店の人に「枕は首に当ててください」などいわれたことはありませんか?これは首の隙間を枕で埋めれば、頭部の重さを広範囲に分散できると考えられるためです。
枕を正しく使い少しでも頭の負荷が頸部に集中するのを防げれば、就寝中の頸部への負担を軽減できる可能性が高まります。寝違え対策には有益といえるでしょう。
シーツやパッドの使い方
寝具は、下から『マットレス→マットレスプロテクター→ベッドパッド→シーツ→敷きパッド』となるようにするのが正しい重ね方といわれます。このほか湿気が気になるときは、マットレスの下に除湿シートなど配置してもよいでしょう。
また、暑さで寝苦しい夏や寒くて体が冷えがちになる冬は、シーツや敷きパッドの素材を変えると寝心地がよく快適な眠りを得られそうです。夏は接触冷感生地のもの、冬は吸湿発熱素材や毛足の長いもの、と使い分けてみましょう。
自分に合った枕探し
寝違え対策の一つとして適切な枕を使うことは非常に有益と考えられます。自分に合った枕を見つけるには、どのような点に注目すればよいのでしょうか。
素材ごとに機能性は異なる
枕の素材を大別すると、『天然素材』『化学素材』の2種類があります。このうち一般的に吸湿・発散性に優れているといわれるのが天然素材です。寝心地や睡眠の質を重視するなら、天然素材の枕の方が快適に感じるでしょう。
人は寝ている間に大量の汗をかくといわれます。特に頭部は発汗しやすく、吸湿性の低い枕では枕が蒸れてしまうかもしれません。汗が冷えて枕が冷たくなれば、首や肩の血行が滞ってしまう可能性大です。朝起きたとき寝違えてしまう確率はグンと高くなるでしょう。
また、枕を選ぶときは中の素材だけではなく側生地も天然素材の方がベターです。外・中ともに適切な天然素材でそろえれば、枕の使用感はより一層快適になると考えられます。
首の隙間を埋める高さがポイント
枕の高さは高すぎず低すぎないものが好ましいでしょう。
仰向きになったとき顎が上がりすぎたり下がりすぎたりしてはいけません。枕の理想の高さは『頸部に圧迫感がなく、背骨全体が緩やかなカーブを描ける高さ』といわれています。この姿勢を保てれば腰や背中、首への負担が軽減されたり、寝違えの心配なく眠れる可能性が高まるでしょう。
また枕の位置が高すぎたり低すぎたりすると、顔がむくみやすくなったりいびきをかきやすくなったりする可能性もあります。枕の高さは睡眠時の姿勢に少なからず関わるといわれるため、よくチェックしておくことをおすすめします。
枕のサイズも考慮しよう
横たわる人の大きさによって、枕の適切なサイズも変わります。まず一般的に定番といわれるサイズは以下の三つです。
- 約35×50cm
- 約43×63cm
- 約50×70cm
上から小柄な人、中くらいの人、大柄な人に向いているサイズといわれますが、近年はこれ以上大きい枕も珍しくはありません。横幅は約63~100cm程度とサイズバリエーションが多い上、抱き枕、横向き寝用枕など、形状も多様です。
どのサイズや形状を選ぶかは好みによるところが大きくなりますが、寝違え対策なら『寝返りしやすいこと』をサイズ選びのポイントにするとよいかもしれません。
サイズが小さめの枕だと、寝返りをしたとき頭が落ちてしまう可能性があります。枕を選ぶときは左右に頭を動かしても余裕があると感じるサイズがおすすめです。
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寝違えしやすい人におすすめの枕
寝違えしやすいと感じる人は思い切って枕を変えてみてはいかがでしょうか。自分にあった高さや固さの枕にすることで、寝違えしやすい状態を改善できる場合があります。
首へのフィット感が高いもの、頭部をしっかり支えてくれるものなどさまざまあるので、自分に合うものを見つけてみましょう。
PARAMOUNT BED スマートフィット ピロー
こちらは自然な寝返りを妨げない幅約80cmの幅広サイズ枕です。凹凸のないフラットな形状に加え、後頭部と頸椎の位置には『サポートシート』が配されています。寝返り時に頭をスムーズに転がしやすく、頸部への負担軽減の可能性を期待できます。
枕は横向き寝を想定した仕様ですが、『ショルダーサポート』で仰向き寝にも対応可能です。仰向きになったときの肩から首・頭をしっかりと支えてくれるため、安定した寝心地を得られるでしょう。
高さは『ハイタイプ』『ノーマルタイプ』『ロータイプ』の3種類があるため、好みや体格に合う枕を見つけやすいのではないでしょうか。
Air SLEEPTECH エアー4D
4D感覚の特殊立体構造は、頭圧分散や快適な寝心地の実現を目指して作られました。
まず頭部のムレ対策として、側面をメッシュ構造にしたり中間層に温度上昇を抑えるゲルを挟んだりしています。通気性がよく熱が内部にこもりにくい仕様のため、ムレ感の軽減に有益といわれます。
加えて側生地内部には1cmと2cmの2種類のウレタンシートが入っています。これにより高さ調節は1cm単位で最大3cm程度まで行えます。
一方2cmのウレタンシートは4分割仕様です。首側・後頭部側、両サイドとそれぞれに高さを調整できるため、体型やマットレスの高さに合わせた調整は容易といえます。横向きでも仰向きでも満足できる寝心地を得やすいでしょう。
EMOOR リッチダウンピロー
寝心地を重視したい人におすすめできる羽毛枕です。ダウン約50%とフェザー約50%が配合されており、頭を横たえるとふんわりと優しい感触を楽しめるでしょう。
加えて枕の側生地は、綿100%です。枕の中・外とも天然素材で作られているため、素材にこだわりたい人も満足し得る仕様といえるのではないでしょうか。
ナチュラルな風合いは白を基調とした部屋や、ホテル調にまとめたい部屋によくマッチしそうです。
True Sleeper ネックフィット ピロー
弾力性と復元力が高い低反発ウレタン素材が使われている枕です。
寝違えを防ぐには、首や肩への負担を少なくすることも大切といわれます。この枕は頭を横たえたとき、首と枕の間に隙間ができにくい仕様です。ほどよい柔らかさで首元に沿い、頭をきちんと支えてくれるでしょう。
また姿勢を変えても枕のフィット感が変わりにくいのもうれしいポイントです。寝返りを打ちやすかったり、寝ていても不自然な体勢になりにくいようさまざまな工夫がなされています。
体温や体圧に合わせて形状は変わるため、自然な寝姿勢を続けることも難しくはありません。
まとめ
寝違えてしまったときは、まず冷やして痛みを緩和させるのがおすすめです。数日安静にしていれば症状が治まるケースがほとんどといわれますが、ときに慢性化することもあります。頭痛が治まらなかったり「おかしいな」と感じたりすることがあれば、専門医を訪ねるのがおすすめです。
また、寝違えを予防を目指して睡眠環境を整えたり体に合った寝具を使うのもよいでしょう。もう一度就寝時の様子をチェックしたり枕やマットレスの具合を確認してみたりなどしてはいかがでしょうか。
寝違えで頭痛まで発症してしまうと日常生活への支障は大きいといえます。十分に注意して今後は寝違えと無縁で過ごせるようにしましょう。