黒大豆ポリフェノール「クロノケア®」摂取による睡眠の質の改善効果を確認
フジッコ株式会社(本社神戸市:代表取締役社長執行役員:福井正一)は、黒大豆ポリフェノールによる睡眠の質の改善効果に関する研究成果について、2023年5月24日(水)~25日(木)に神戸国際会議場にて開催される「第76回日本酸化ストレス学会学術集会」において発表いたします。
■背景:睡眠の質の改善は早急な対策を要する社会課題
2021年にフィリップス社により実施された、コロナ渦における睡眠の質に関するグローバル調査によると、日本人の睡眠に対する満足度は調査対象国13カ国の中で最下位でした[1]。また、2019年の厚生労働省の調査では、日本人の約70%の方が睡眠の質になんらかの悩みを感じていました[2]。特に、「日中眠気を感じた」「夜間睡眠途中に目が覚めて困った」といった悩みを持つ人の割合が高くなっています(図1)。加えて、同調査によると、日本人の平均睡眠時間は年々短くなっています。睡眠不足は仕事のパフォーマンス低下と相関すると言われており[3]、睡眠関連の問題による日本の経済的損失は2016年時点で15兆円と試算されていることから[4]、睡眠の質の改善は早急な対策を要する社会課題であるといえます。
図1:睡眠の悩みがある人の割合とその内容(厚生労働省 令和元年国民健康・栄養調査 )
■発表内容:黒大豆ポリフェノールによる睡眠の質の改善効果に関する研究成果について
当社は、黒大豆種皮から抽出・精製した機能性素材である、黒大豆ポリフェノール「クロノケア®」を開発し、様々な機能性研究を行ってきました。「クロノケア®」は、ポリフェノールを 58%以上(主成分は低分子プロシアニジン)含み、非常に高い抗酸化作用を有します。体内で酸化ストレスが蓄積すると、自律神経機能が乱れて疲れなどの症状に繋がりますが、「クロノケア®」は、酸化ストレスを低減して自律神経機能を整えることが確認されています[5]。この作用により、「クロノケア®」は「一過性の疲労感」や「日中の一時的な眠気」を軽減する機能があることを確認しており、これらの機能については機能性表示食品の届出が受理されています。自律神経機能は睡眠の質にも深く関与しており、良い睡眠には自律神経機能を整えることが重要です[6]。そこで、「クロノケア®」の摂取が、睡眠の質に与える影響を検証しました。
【研究内容】
被験者69名(20~65歳の男女)を、「クロノケア®」高用量(300mg/日)を摂取する群、低用量(100mg/日)を摂取する群、「クロノケア®」を含まないプラセボを摂取する群の3群に分けました。各試験食を12週間摂取してもらい、OSA睡眠調査票にて睡眠の質を評価しました。
【結果】
「クロノケア®」を摂取することで、睡眠の質(起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間)が改善されることが確認できました。特に、「クロノケア®」高用量(1日に300mg)の摂取でより顕著な効果が示されました。
図2:「クロノケア®」を12週間摂取した際の睡眠の質の変化(摂取前からの変化量)
OSA睡眠調査票による評価
【まとめ】
本研究の結果から、「クロノケア®」は摂取期間および摂取量に従い、睡眠の質を改善することが示されました。これらは、日本人が抱える睡眠の質の悩みに対応しており、「クロノケア®」の摂取による社会的な睡眠問題の解決が期待できます。
これまでの研究成果である「一過性の疲労感」や「日中の一時的な眠気」を軽減する機能性表示と併せて、「クロノケア®」を人々の健康と社会に役立てていきたいと考えています。今後は、「クロノケア®」を配合した自社の新たな食品の開発や機能性食品原料として、飲料やサプリメント等の素材販売を進めていく予定です。
[1] Koninklijke Philips N.V. (2021). Seeking solutions: how COVID-19 changed sleep around the world. (https://www.usa.philips.com/c-dam/b2c/master/experience/smartsleep/world-sleep-day/2021/philips-world-sleep-day-2021-report.pdf)
[2] 厚生労働省(2020). 令和元年国民健康・栄養調査報告
[3] Okajima, I., Komada, Y., Ito, W., & Inoue, Y. (2021). Sleep debt and social jetlag associated with sleepiness, mood, and work performance among workers in Japan. International Journal of Environmental Research and Public Health, 18(6), 2908.
[4] Hafner, M., Stepanek, M., Taylor, J., Troxel, W. M., & Van Stolk, C. (2017). Why sleep matters—the economic costs of insufficient sleep: a cross-country comparative analysis. Rand Health Quarterly, 6(4), 11.
[5] Akagi, R., Maruo, T., Mori, N., Fukuda, M., Suzuki, T. (2021). Effects of black soybean seed coat extract on attenuating fatigue sensation in healthy volunteers. 薬理と治療. 49(6), 953-964.
[6] Okamoto-Mizuno, K., Yamashiro, Y., Tanaka, H., Komada, Y., Mizuno, K., Tamaki, M.,Kitado, M., Inoue, Y., & Shirakawa, S. (2008). Heart rate variability and body temperature during the sleep onset period. Sleep and Biological Rhythms, 6(1), 42-49.
■ 第76回日本酸化ストレス学会学術集会 概要 (https://plaza.umin.ac.jp/sfrrj76/index.html)
【開催日時】 2023年5月24日(水)~25日(木)
【会 場】 神戸国際会議場
【発表演題】 黒大豆ポリフェノール『クロノケア®』の継続摂取が睡眠の質に与える影響
【演題番号】 O4-4(口演発表)
【発表日時】 2023年5月24日(水) 14:00-15:00(内10分)
【発表要旨】
【目的】黒大豆種皮から抽出した機能性素材「クロノケア®」(以下BE)は、ポリフェノールを58%以上(主成分は低分子プロシアニジン)含み、高い抗酸化作用を有する。これまでに、BEは酸化ストレスを低減することで自律神経機能を調節することが確認されている。自律神経は睡眠の質とも関連することから、BEの睡眠への機能を評価した。
【方法】(実験1)男女69名をプラセボ、BE低用量100mg、高用量300mg摂取の3群に割付け、12週間の二重盲検並行群間試験を行った。試験食は錠剤で夕食後に各群3粒摂取させ、4週毎にOSA 睡眠調査票を実施して睡眠の質を評価した。(実験2)睡眠の質に不満がある男女44名をBE低用量100mg、高用量300mg摂取の2群に割付け、12週間の並行群間試験を行った。試験食はBEが100mg入ったカプセルで、夕食後に1粒もしくは3粒摂取させた。実験1と同様に睡眠の質を評価し、疲労に関するVASも併せて実施した。
【結果】(実験1)OSA(起床時眠気、入眠と睡眠維持、疲労回復、睡眠時間)において、摂取0週から12週の変化量で、摂取量および摂取期間依存的な改善が確認された。(実験2)OSA およびVAS(疲労感、眠気、肩こり、意欲、眼の疲れ、体のだるさ・おもさ)における摂取0週から12週の変化量で摂取期間依存的な改善が確認された。摂取量の違いによる明確な差は見られなかった。
【用語説明】
・プロシアニジン:黒大豆ポリフェノールの主成分。フラボノイド類のフラバン-3-オールに属し、エピカテキンあるいはカテキンの縮合体として存在する。
・自律神経機能:交感神経機能と副交感神経機能に大別される。通常、活動時は交感神経の活動が優位になり、休息・睡眠時には副交感神経の活動が優位になる。
・プラセボ:黒大豆ポリフェノールの対照として使用する。黒大豆ポリフェノールの代わりにデキストリンが入っているカプセル。
・OSA睡眠調査票:起床時の睡眠感を評価する心理尺度で、5つの因子(起床時眠気,入眠と睡眠維持,夢み,疲労回復,睡眠時間)からなる16項目の4肢選択式の質問票。
・VAS:Visual Analogue Scale(視覚的アナログ尺度)によるアンケート。疼痛のような特定の感覚や感情の強度を評価する際に用いられる方法。
引用:PR TIMES