掛布団を自宅で洗濯する方法。必要なものから手順まで徹底解説
掛布団を自宅で洗えるなら、クリーニング代や持ち出す手間・時間の節約につながりそうです。掛布団を洗う理由、洗濯可能か不可かの判断法、必要なもの、実際の洗い方やコツについて解説します。自宅で洗う以外のオプションについても見てみましょう。
掛布団を洗おう
「そもそも掛布団って洗う必要があるの?」と疑問に感じる人もいるかもしれません。
まずは掛布団の洗濯について、『なぜ』『どれだけ』『いつ』すべきかなど、ベーシックな事柄をおさらいしましょう。
掛布団の洗濯が必要な理由
あなたは、「カバーを毎週替えていたり、毎日寝る前にお風呂に入っていたりするから、掛布団は洗う必要がない」と考えていませんか?
人間は夜寝ている間にコップ約1杯分以上の汗をかくといわれ、その水分が布団の内部に徐々に蓄積されます。天日干しなどで湿気の軽減はできますが完全には除去できないため、やはり定期的に大そうじが必要でしょう。
さらに、皮脂・フケ・よだれなども中綿へ浸み込みます。それらはダニやカビの大好物です。布団内部は暖かいうえ、ジメジメとして湿度が高くなりがちです。なおかつエサも豊富となると、ダニやカビなどの温床となり得ます。
不潔な環境は快眠だけでなく、健康にも影響を与えるリスクがあります。そのリスクを低減するために洗濯が必要なのです。
洗濯の頻度は半年に1回程度
掛布団はどのぐらいの頻度で洗濯をするとよいのでしょうか?一般的には、半年に1回程度がよいとされます。いつも清潔な状態を維持したいからといって、あまり頻繁に洗濯しすぎると、布団の寿命を縮めてしまうこともあるのです。
ちょうど夏ものと冬ものを入れ替えるタイミングで、衣類と一緒に掛布団も衣替えをすれば、出し入れする手間や回数も少なくて済み一石二鳥でしょう。
収納前に『しまい洗い』することで、使用していない間のカビ・ダニの繁殖や、虫食い・黄ばみのリスクを低減する効果が期待できます。
洗濯する前に確認するべきこと
始める前に、きちんと洗濯ができる環境かどうかをチェックしたうえで、作業にとりかかることが大切です。
間違った方法だと、生地や中綿が縮む、ぺちゃんこにつぶれる、中綿が片寄る、中綿が飛び出るなど、掛布団を傷める原因にもなり得ます。
クリーニング代を節約しようとして、結局掛布団そのものを買い替えることにでもなれば、本末転倒です。
洗濯表示をチェックする
まずは、掛布団についている洗濯表示を見ます。
ものによって、『洗濯機が使用可能』『水洗いはOKでも、洗濯機はNGで手洗い(足踏み洗い)のみ』『水洗いNGで、要ドライクリーニング』など、取り扱い方法が変わります。『水洗い可能なタイプ』であることを確認しましょう。
素材に関していえば、一般的に「ポリエステル」や「綿」などは洗濯に強いことが多いようです。羽毛は、洗濯可とそうでないものとが混在します。シルクやウールは、扱いが難しいものが多い傾向にあるようです。
洗濯機のサイズ
洗濯機が使用可能と判明したら、洗濯機の容量についても確認が必要です。洗濯機の取扱説明書を確認しましょう。容量はOKでも、ドラム式の洗濯機などは布団洗いができないタイプもあるため、注意したいところです。
掛布団とひとくちにいっても、かさ、厚さ、重さは掛布団の素材や種類によって異なります。
ざっくりいえば、薄手のシングルサイズ掛布団であれば洗濯容量が約5kg、それ以上のサイズであれば7~10kg程度の容量の洗濯機が適するとされます。
「サイズ感がよくわからない」という場合は、掛布団が『洗濯機の70~80%ほどにおさまるかどうか』をおおよその目安にするとよいでしょう。
天日干しするなら天気を確認
掛布団は衣類などに比べサイズが大きいため、乾かすのに時間がかかります。
素材やサイズにもよりますが、中には完全に乾くまで2~3日かかることも珍しくありません。特に脱水機能が使えない掛布団だと、より時間がかかることを念頭におきましょう。
そのため、天日干しをする場合には、数日先までの天気を確認しておくことが大切です。カラッとして湿度が低く、連日で晴天が続くタイミングがベストといえます。
掛布団を洗濯するために必要なもの
洗濯機も使用可能で、容量もOKとなったら、次は洗濯に必要なアイテムをそろえます。次の三つについて詳しく見てみましょう。
傷むのを防ぐ洗濯ネット
掛布団がすっぽり入るサイズの洗濯ネットが必要です。
布団に当たる衝撃を和らげるクッションのような役割のほか、布団が洗濯機に絡まってうまく回転しなくなったり、もし布団が破れたときに中綿が散乱したりすることの予防にもつながります。
洗濯機の中には、『洗濯キャップ』が必要な機種もあります。使っている洗濯機の仕様に合わせましょう。
また、洗濯ネットが手元にない場合は、掛布団を三つ折りにしてロール状に巻いた状態にしてから、ヒモで2~3カ所を縛ることで代用も可能です。
素材を傷つけない中性洗剤
さまざまなタイプの洗剤が販売されていますが、掛布団洗いには素材に優しい『中性タイプ』を使用します。『弱アルカリ性』の洗剤は、洗浄力は強いものの、素材の持ち味である成分まで洗い流す可能性があるため、避けた方が無難です。
中性洗剤の中でも、水に溶けやすい『液体タイプ』がよいとされます。粉末タイプでは、水に溶けきらない可能性があります。
さらには、デリケートな素材に適した『おしゃれ着洗い用洗剤』、または『寝具専用洗剤』などであれば、より安心感アップです。そのほかは、好きな香りや、柔軟剤・抗菌剤があらかじめ含まれているものなど、好み次第で選びましょう。
立体物干しがあれば便利
掛布団を干すためには物干し台も必要です。普段衣類を干すために使っている、背の高い物干し台を使うこともアリですが、水分を吸った布団は重たく上げ下ろしが大変であるため、ほどよい高さの『立体物干し』があると便利です。
掛布団の洗濯は年に数回の頻度でも、普段からよく布団を干す家庭には、1台あると家事がはかどるうえ、体の負担も軽減できそうです。
腰あたりの高さで、布団を横からスライドさせるタイプであれば、女性が一人で干したりしまったりするにも楽といえます。
耐荷重には注意が必要ですが、折りたたんで持ち運べる軽量なものだと、収納が楽なうえ、干す場所も移動ができ使い勝手がよいでしょう。
洗濯機での洗い方
掛布団を家庭で水洗いするには、『洗濯機を使って洗う方法』か『浴槽で足踏み洗い』のいずれかになります。
まずは洗濯機での洗い方を学びましょう。下準備した後は基本的に洗濯機におまかせになるので、足踏み洗いと比べてグッと簡単なうえ手間もかかりません。
洗濯ネットに布団を入れる
掛布団で、特に汚れがひどい箇所には、まず『前処理』をしてから洗うとより効果的といえます。寝具専用やおしゃれ着洗い用などの中性洗剤を、黄ばみ・血液や尿などのシミに塗りましょう。こするのはNGです。
次に布団洗い用の洗濯ネットに掛布団を入れますが、適当に押し込むとシワや型崩れの原因ともなり得ます。きちんと折りたたんで入れることが大切です。
縦方向に三つ折りし、クルクルとロール状に巻いて入れましょう。空気を押し出しながら作業するとやりやすいでしょう。
洗濯機に水を張り、洗剤を入れる
掛布団を入れる前に、洗濯機に水を張り洗剤を投入します。掛布団を先に入れてから洗剤の順番だと、洗剤がまんべんなく行き渡らずムラができたり、布団に洗剤がついてしまい色落ちしたり変色したりする恐れもあります。
洗剤がしっかり溶けきるよう、手やお風呂の湯かき棒などを使って混ぜるとより効果的でしょう。ここでしっかり泡立てておくと、洗浄力アップにつながるようです。
水温については、一般的にはウール・羽毛なら30度以下、ポリエステルなど化学繊維は40度以下がよいとされます。洗濯表示は温度について指定されていることも多いので、指示に従いましょう。
手洗いコースなどで洗濯する
掛布団の洗濯には、『手洗いコース』『布団洗いコース』『大物洗いコース』『毛布コース』などを選びます。洗濯機のメーカー・機種によって、モードの呼び方や設定が変わるので、自宅の洗濯機の取扱説明書に目を通すとよいでしょう。
本洗いの前に、『つけ置き洗い』を取り入れることも一つのアイデアです。水と洗剤を入れた洗濯槽に布団を入れたら、短時間だけ洗濯機を作動した後でいったん『停止』ボタンを押します。
そのまま10分ほどおいてから通常の洗濯を開始することで、しっかり水分と洗剤成分が布団の内部にまで浸透し、洗浄力アップにつながりやすいです。
浴槽での洗い方
水洗いはOKでも、洗濯表示が『手洗い』になっていたり、洗濯機に入りきらない大きなサイズだったりする掛布団は、浴槽に入れて足踏み洗いをします。
次の手順を参考に、ざっくり流れをつかみましょう。
表面の汚れを落とす
浴槽に水を溜める前に、布団の表面の汚れやほこりをシャワーでサッと洗い流しましょう。洗濯機で洗う場合と同様に、汚れのひどい箇所には『前処理』も行います。
寝具専用やおしゃれ着洗い用の中性洗剤を、血液・尿・食べ物などのシミや黄ばみなど汚れが目立つ箇所へ浸み込ませます。繊維を傷めないよう、こすらないことがポイントです。
布団をいったん浴槽から出し、浴槽内に水を溜め洗剤を溶かします。ムラができないようまんべんなく溶かすとともに、湯かき棒や手桶などでかきまぜ泡立てておきましょう。
水量は浴槽いっぱいでなく、掛布団がヒタヒタに浸る程度でOKです。
布団を入れて踏み洗いをする
洗濯液ができたら、布団を浴槽に入れますが、洗濯ネットは使わず三つ折り状態にして入れましょう。その後は掛布団の全面をまんべんなく足で踏み洗います。一通り踏み終えたら、裏返して別の面も洗います。
この作業を何度か繰り返した後はすすぎに入ります。汚れた水を流し、きれいな水に入れ替えて踏むことを2~3回繰り返します。
なお、足踏み洗いを子どもと一緒に、あるいは子どもに全部おまかせすることも一つのアイデアです。夏場などは特に、家事というよりは楽しい水遊びの感覚で、喜んでお手伝いしてくれるかもしれません。
すすいでから軽く脱水する
洗濯機を使う場合と使わない場合を比較したときに、最も作業効率に差が出るのは『脱水』ではないでしょうか。洗濯機の脱水機能を使わずに、水分をずっしり含んだ布団から水を抜くには、より長い時間と手間が必要です。
すすぎが完了したら、浴槽の縁に布団をかけて1時間ほど放置し、重力で自然と水が抜けるのを待ちます。
その後は、また足で掛布団を踏みながらできるだけ水分を抜きます。表・裏など向きを変えながら、これ以上水分が出ないという状態まで脱水しましょう。
掛布団を干すときのコツ
洗濯機・足踏み洗いのいずれの方法でも、洗濯から脱水までが完了したら、次は干す作業です。厚みがある掛布団は特に、中までしっかりと乾燥させることが大切です。
乾燥が十分でないと、カビやダニの発生だけでなく、嫌なにおいの原因にもなり得ます。また、干すときには途中で一度裏返して、両面をまんべんなく乾かすこともポイントの一つです。
効率よく干すためのコツを三つまとめました。
布団はM字で陰干し
脱水した掛布団を干すときは、2本の物干し竿をまたがせM字型にかけると通気性がアップし乾きやすくなります。
水分を含んだ布団は重いので、2本に渡して干すことで物干し台の荷重も分散されるうえ、水分の重みで布団の中綿が下方へ片寄ることを防止するためにも有用なようです。
天日干しか陰干しかについては、素材や商品によって変わります。洗濯表示に陰干しの指示があるかどうかを確認しましょう。なお、日干しの場合でも、カバーをかけて干すことで側生地を紫外線から保護できるでしょう。
濡れた布団を運ぶときはタオルを敷く
浴室や洗濯機置き場から濡れた布団を運ぶときには、水が滴り落ちることが考えられます。床が濡れていると滑りやすくなることに加え、カーペットなどの後始末が面倒になる場合もあるかもしれません。
予防法として、あらかじめ通路にタオルなどを敷いておくと安心でしょう。
あるいは、清潔なバスタオルなどで濡れた布団の下部を覆いながら運ぶと、水が垂れるのを軽減できるだけでなく、布団の水分も吸収してくれ一石二鳥といえます。
コインランドリーを使う方法も
「忙しくて家庭で洗濯する時間がない」「うまく洗う自信がない」「面倒くさい」という人は、コインランドリーも選択肢に入れるとよいでしょう。
特に、家族全員分を洗って干すとなると、洗濯機を何回も回さなければいけなかったり、布団を干す場所に困ったりということも考えられるほか、乾かす時間も膨大になります。
コインランドリーの洗濯機・乾燥機は大型なので、一度に2~3枚まとめて洗うことができるうえ、機械にほとんどおまかせできるので、布団を運ぶ手間が必要でも効率がよいといえるでしょう。
クリーニングに比べるとグッと低コストである点もメリットです。
宅配クリーニングを活用する方法も
最後は、宅配クリーニングについて解説します。自分で布団を家から持ち出す必要なくプロのサービスが利用でき、掛布団を清潔に保ちやすい便利なサービスです。
「小さな子どもや介護が必要な人がいて、なかなかクリーニング店やコインランドリーまで行けない」「夫が仕事で車を使うので、足がない」「天気が悪くて、運ぶ間に布団が汚れるのが心配…」
そんな人には、検討する価値があるのではないでしょうか。
自宅で洗えない掛布団も洗濯可能
羽毛布団の一部や、ウール・シルクといった天然素材は、ケアが難しく自宅で洗えないものも多くあります。
また、「自宅で洗濯可能」とうたっていても、数万~数十万円するような高級な布団の場合は、失敗のリスクを考えるとなかなか実行に移せないものです。
そんなときは、プロの手にゆだねましょう。布団専用の大型機器がそろっているうえ、スタッフも素材や商品に関する知識・経験値が豊富なので、より確実・よりきれいに仕上げてくれると期待できます。
カビ取り・脱臭・防ダニ加工などのオプションがある場合もあり、必要に応じてオーダーできることもメリットといえるでしょう。
重い布団を運んでもらえる
掛布団は重たくかさばることが多いので、持ち運びが大変です。
特に、地下鉄やバスなどの公共交通機関でコインランドリーやクリーニング店へ出向くとなると、周りへの迷惑になることもあるでしょう。
その点、自宅まで引き取り・配達に来てくれたり、宅配便で発送・受け取りができたりするサービスは、重い布団を運ぶ手間やガソリン代をセーブでき便利といえます。
「高額なのでは?」と心配する人もいるかもしれませんが、中には送料や配達無料のサービスもあるので、探してみましょう。
業者によっては保管もしてもらえる
クリーニングを依頼した際に、布団をそのまま次のシーズンまで預かってくれるところもあります。
ただでさえかさばる掛布団を、家族の人数分収納するとなると、通常はかなりのスペースが必要です。収納場所が少ない家庭にとっては、有効に居住空間を活用できる強力な助っ人となりそうです。
料金だけでなく、布団何枚からオーダー可能か、預かり期間の長さなど、業者によって内容に差があります。
送料・配達無料で依頼できるところや、圧縮袋を使わずに保管するオプションが選べるところもあるので、自分のニーズに合った業者を探してみましょう。
まとめ
掛布団は、半年に1度、衣替えのタイミングで洗うとよいでしょう。
洗い方には、『洗濯機で洗う』『自宅の浴槽で足踏み洗いする』『クリーニングに出す』方法があり、掛布団の洗濯表示に従って行います。洗濯機を使って洗う場合は、『自宅の洗濯機で洗う』か、『コインランドリーで洗う』ことも可能です。
いずれの方法にしても正しい手順に則って洗うことポイントといえます。大切な掛布団を長く清潔に使い続けましょう。