快眠のためのポイントを知ろう。リズムを整える方法と寝具の使い方
快眠は体力の回復や脳の休息を促し、毎日の活力へつながります。できればスムーズに眠りたいものですが、難しいケースは多々あるでしょう。どのような点に注意すれば、快眠を得やすくなるのでしょうか?快眠のポイントや、おすすめの寝具を紹介します。
睡眠のメカニズムを知ろう
人はなぜ夜が来ると「眠い」と感じるのでしょうか?睡眠のメカニズムについて、くわしくみてみましょう。
眠くなるメカニズム
睡眠は『ホメオスタシス(恒常性維持機構)』『サーカディアンリズム(体内時計機構)』という二つの仕組みによって誘発されると考えられます。
ホメオスタシスとは、体の生理状態を一定に保とうとする機能です。人が睡眠を欲するのは、脳が疲れたとき機能を一定基準以下に下げないようにするためと考えられるでしょう。
サーカディアンリズムは、ほぼ1日の周期で体内環境を変化させる機能を指します。これは『体内時計(生物時計)』ともいわれるものです。
一般的に、明暗周期の変化にタイミングを一致させていると考えられています。周囲が暗くなる夜に自動的に睡眠ホルモンと呼ばれる『メラトニン』が分泌されるのも、この体内時計の機能の一部といえるでしょう。
これらの仕組みが正常に働くように、体調や精神状態を整えることが大切です。
眠りの種類
人の眠りは『ノンレム睡眠』『レム睡眠』の二つで構成されるといわれます。
脳自体が活動を低下させて、組織の増殖や修復をはかっている状態が『ノンレム睡眠』です。主に脳を休めるための深い睡眠であるといえるでしょう。
一方で『レム睡眠』のときは、脳が完全に休息しているわけではありません。脳は浅い眠りの状態で、主に記憶整理などをして働いています。レム睡眠は『脳を育てるための睡眠』と考えられるでしょう。
二つの睡眠は、眠りの深さによって4段階に分類されるのが一般的です。最も深い第4段階になるのは『入眠後3時間以内』で、その後はレム睡眠とノンレム睡眠を約90分ごとに繰り返すといわれています。
ただ、眠りのパターンは人によってまちまちで、年代によっても異なるそうです。
しっかり眠ることの重要性
眠りが浅いまま朝を迎えると、体にだるさを感じたり頭がぼんやりして働きにくくなったりするものです。
快眠できなかった場合、体や脳にはどのような影響があるのでしょうか?しっかり眠ることの重要性について考えてみましょう。
体の回復を図る
しっかり眠ることは、体の修復や成長、疲労回復に欠かせないといわれます。これは、睡眠中に分泌される『成長ホルモン』が大きく関係しているためと考えてよいでしょう。
成長ホルモンは、タンパク質の合成や骨や筋肉などの成長を促進するともに、細胞の修復や新陳代謝を促します。熟睡状態であるノンレム睡眠の際に出るもので、特に『入眠後90分ほどで訪れる最初の深い眠り』のときに多く成長ホルモンが分泌されるようです。
ただ眠るのではなく、質のよい睡眠をとることが体の回復や成長に影響するといえます。
脳の休息を図る
脳が人の体に占める割合は体重に対して約2~5%に過ぎないものの、『消費エネルギーは全体の約20%を占める』という意見が一般的です。睡眠は日中忙しく働き続ける脳を休ませるうえで、非常に重要なことといえるでしょう。
レム睡眠とノンレム睡眠のうち、ノンレム睡眠時は脳代謝量が低下し、脳温も下がると考えられています。これは『脳が休息状態に入っている状態』といえるでしょう。
ノンレム睡眠をしっかりとれていない状態で目覚めれば、脳は十分に休息を得られていない可能性があります。1日中頭がぼんやりするなど、不都合を感じる場面が増えるかもしれません。
記憶の干渉や固定とは
目覚めているときに得る種々の情報は互いに影響し合っており、古い情報は新しい情報に押し出されていくと考えられます。一般的に『記憶の干渉』といわれる状況です。
一方で、新しい情報を経験や知識に結びつけて脳に定着させることは『記憶の固定』といわれます。技能習得や学習には必須といえますが、目覚めているときは記憶の干渉を受けやすく、知識や記憶を短時間で脳に定着させるのはなかなか難しいことです。
その点、睡眠中であれば、外からの情報が遮断されます。記憶の干渉が起こりにくく、記憶の固定を促しやすい状態です。「適切な睡眠時間を確保すれば記憶力が上がる」などといわれるのは、記憶の固定と睡眠の関係が理由に含まれている可能性があります。
よくある不眠の症状
ひと口に不眠といっても、さまざまな種類があります。快眠できずに「不眠かも?」と心配している人は、不眠の症状とはどのようなものなのかチェックして自身の状況と比較してみましょう。
寝つきがよくない
ベッドに入ってもなかなか眠りが訪れない状態は、いわゆる『入眠障害』に該当すると考えられます。横たわったまま30分~1時間以上眠れずに過ごすケースも多く、「眠らなければ」と考えすぎて余計に眠れなくなったりする人もいるでしょう。
不眠の症状としては年齢層に関係なく一定数が抱えているのが特徴で、眠れない状態に苦痛を感じがちです。原因の特定は困難ですが、心に不安やストレスを感じていると発症しやすいともいわれます。
途中で起きてしまう
ベッドに入れば眠ることはできますが、夜中に何度も目覚めてしまう状態です。『中途覚醒』などといわれることが多いでしょう。
成人に最も多くみられるといわれ、特に高齢になるほど症状を発症しやすくなると考えられます。年齢を重ねることとで深い眠りにつく体力が若い頃よりも減り、眠りが浅くなるためです。
加齢以外では泌尿器系の不調がある場合も、夜に何度も目覚める『夜間頻尿』などのケースがあります。
早く起きてしまう
予定の起床時間より数時間早く目が覚めて、その後は眠れなくなるなど、望む時間まできちんと眠れない状態です。目覚めが早すぎるため『早朝覚醒』などと呼ばれます。
このケースでは、体内時計のリズムが早まっている可能性があります。高齢者に当てはまりやすい症状で、起床が早いぶん夜遅くまで起きていられないのが一般的です。
起きたときにすっきりしていない
睡眠時間はたっぷりとったはずなのに「寝た気がしない」など感じる状態です。ぐっすり眠った感じを得られないため、いわゆる『熟眠障害』に当てはまるでしょう。
寝たはずなのにすっきりしない原因はさまざま考えられますが、注意したいのが『睡眠時無呼吸症候群』『周期性四肢運動障害』など、睡眠中に症状が現れる病気です。
本人だけで気付くのは困難なため、すっきりしない状態が続くようであれば早めに専門医へ相談してみるのがよいでしょう。
不眠について知ろう
不眠の症状がある場合でも、すぐに状況が好転したのなら不眠症には該当しないと考えられます。それでは『不眠症』といわれるときは、一般的にどのような状態を指すのでしょうか?不眠症の概要についてチェックしてみましょう。
不眠症とは
通常、不眠症と診断されるのは次の二つの状態が認められたときといわれます。
- 長期間にわたって夜眠れない状態が続く
- 眠れないことにより心身の不調を自覚しており、生活の質が低下している
症状としては、前述のような入眠障害・中途覚醒・早朝覚醒・熟眠障害のいずれかあるいは複数が重なって発症するでしょう。
不眠症になる原因は特定が難しく、身体的・精神的両面から影響を受けている場合があります。『ストレス』『メンタルの病気』『薬の副作用』など、考えられ得る要因に合った適切なアプローチが必要です。
時間よりも質が重要
不眠症を考えるとき重要なのは『朝に快適な目覚めを得られているか』『前日の疲れはとれているか』の2点です。前者は脳の休息、後者は体力の回復の観点から考えます。
実際のところ、最適な睡眠時間は人によってまちまちです。「8時間は寝ないと寝不足」という人がいる一方で、「3時間で十分」という人もいるかもしれません。睡眠時間が短くても、質のよい睡眠がとれていれば不眠症とはいいにくいでしょう。
ただし、近年では『かくれ不眠』という状態の人も増えています。これは、一時的または耐えうる程度の不眠であるために、放置している状態です。今後日常に支障をきたすおそれもあるため、少しずつ睡眠環境や睡眠時間を見直しましょう。
快眠のためのコツ
「ぐっすり眠れた感じがしないな」と悩んでいる人は、生活環境や睡眠への意識を変えるところから始めましょう。「もっとよく眠りたい」という人が気をつけたい日常のポイントや、快眠のためのコツを紹介します。
リズムを整えることが大切
まず大切なのが、規則正しい生活を送ることです。人は体内時計に従ってホルモン分泌や生理活動を調整し、入眠しやすい状態をつくるといわれます。
意識的にすぐ実行に移せるものではないため、規則正しい生活で体内時計のリズムを整えることが重要です。食事のバランスに気をつけたり、軽い運動習慣を取り入れたりします。
不眠が気になる人は、日々のルーティンを決めてそれに従って行動してみるとよいでしょう。
就寝時刻を気にしすぎない
「○時だから寝なければ」という強い思いがストレスとなれば、体は緊張状態のままで眠りへの準備に入れない可能性があります。リラックスした状態になれず、さらに目が冴えてしまうかもしれません。
眠れないときは時計をひんぱんに確認せず、「眠くなったら寝よう」とのんびり構えるのが望ましいでしょう。どうしても眠れないときは、いったん寝床から起き上がっても問題ありません。
ヒーリングミュージックなど聞いてゆったりした気分で過ごし、眠気が訪れたらもう一度横になりましょう。
記録をつけるとわかりやすい
不眠気味を自覚している人は、睡眠記録をとって睡眠状態を『可視化』することがおすすめです。日々の睡眠の状態を客観視できるようになり、眠りの問題点が見えてくるかもしれません。
記録を付けるときは就寝時刻と起床時刻のほか『日中に眠気を感じた時刻』や『その日のコンディション』など記すのがよいでしょう。運動などしたときは運動した時間の長さや詳細、アルコールを摂取したときは摂取時刻や量など記載します。
詳細に記入することで、日々のどんな行動が快眠につながるかがわかりやすくなります。
朝に意識したい快眠ポイント
目覚めてから眠るまでのさまざまな行動が快眠につながると考えられます。日々の習慣を思い返しながら快眠のコツをチェックしてみましょう。
快眠を得るために注意したい、朝のポイントを紹介します。
起床時間をそろえる
快眠を得るためには、毎日の起床時刻を同じにすることが大切です。一般的に『睡眠ホルモン』とも呼ばれる『メラトニン』は、起床後約12~14時間後に分泌されるといわれます。
起床が遅くなればメラトニンの分泌も遅れ、眠気を感じる時間がいつもよりも遅くなってしまうのです。日々ぐっすり眠りたいと思ったら、就寝時刻を気にするよりも起床時刻を合わせるところから始めましょう。
朝日を浴びる
朝日が眩しいからと遮光カーテンなど使っている場合は、起きてすぐカーテンを開ける習慣をつけましょう。朝の光は、体内時計をリセットするといわれます。睡眠を誘発するメラトニンの分泌が停止し、活動モードに入りやすくなるでしょう。
同時に、次のメラトニン分泌までのカウントダウンが始まるとも考えられます。時間が経過し、夜になると次のメラトニンが分泌される流れです。自然に眠気が訪れ、スムーズに入眠しやすくなるでしょう。
朝食をしっかり摂る
朝食をしっかり摂ることも体内時計のリズムを整えるのに有益といわれます。脳の中枢は光によって覚醒しますが、『末梢』と呼ばれる臓器は食べ物が入ってくることで活動を開始すると考えられているのです。
また、朝食で睡眠によい栄養素を摂っておくと、食べていないときに比べてメラトニンが生成されやすくなるでしょう。朝日を浴びて約14時間から始まるメラトニンの分泌がスムーズに行える可能性があります。
睡眠を誘うメラトニンの素となるのは『トリプトファン』『ビタミンB6』です。両者は、同時に摂っても吸収が阻害されることはありません。
トリプトファンを多く含むといわれる食品
- 大豆製品
- 乳製品
- ゴマ
- バナナ
- 鶏卵、魚卵など
ビタミンB6を多く含むといわれる食品
- サケ
- マグロ
- カツオ
- イワシ
- ニンニク
- 牛レバー
- 鶏卵など
朝食メニューは栄養素も考慮して決定すると、快眠につながりやすくなるでしょう。
日中に意識したい快眠ポイント
日中どのように過ごすかも、睡眠の状態を左右すると考えられます。夜に快眠しやすい状態にするには、どのようなことに注意すればよいのでしょうか?
軽い運動をする
日中の運動は寝付きをよくし、深い眠りに誘ってくれるといわれます。ウォーキングや早歩き、軽度のランニングなどの『有酸素運動』を習慣づけるのがおすすめです。
一般的に激しい運動は神経が高ぶり、興奮状態に陥りやすくなります。夜に行うと、眠りの妨げとなるかもしれません。激しい運動をしたいときは、日中に行うのがよいでしょう。
人間は、脳温を下げることで眠気を誘います。このとき『普段よりも少しだけ上げた状態から下げる』方が『通常時から下げる』よりも眠りへ入りやすく、深い眠りになる傾向です。夕方頃に運動すれば、よりスムーズに眠りへの準備を始められるでしょう。
運動以外にもストレス発散
快眠を妨げるものとして、ストレスのため込みすぎも考えられるでしょう。ストレスを抱えたまま眠ると、眠気を感じているのに寝付けなかったり、夜中に何度も目が覚めてしまったりするおそれがあります。
日中イライラや不満を感じることが多い人は、上手にストレスを発散することが快眠につながるかもしれません。
友人や恋人と会話して、笑ったりグチを言ったりするだけでも1人で悶々としているよりもラクになる可能性があります。デスク周りや家の中を掃除すると、きれいになったことが目に見えてわかりスッキリするでしょう。
ストレスをためているときは呼吸が浅くなりやすいものです。『意識して深呼吸する』ことも、リラクゼーションを得やすい状態につながります。
昼寝について
人は、健康な状態でも『14時頃』に強い眠気の波がくるといわれます。このとき15~20分程度の昼寝をすると、夜の眠気に影響がない範囲内で休息をとることが可能です。睡眠段階でいうと4段階のうち『第2段階』の比較的浅めの眠りとなります。
とはいえ、あまり遅くに昼寝してしまうと体内時計が狂い、夜眠れなくなることがあります。昼寝の時間は遅くても『15時まで』としましょう。
また、体を完全に横たえると深く眠りすぎてしまうかもしれません。昼寝をするときはソファやカウチに座り、上体を起こしておくのがよいでしょう。暗すぎても眠りが深くなりがちなため、明るい場所で寝るのがおすすめです。
夜に意識したい快眠ポイント
快眠のためには床に就くまでの時間をどのように過ごすかもとても重要です。夕方~夜にかけて、気をつけたいポイントをみてみましょう。
夕食は早めに済ませる
夕食は就寝予定時刻の『約3時間前まで』に摂るのが望ましいといわれます。3時間とは、食事をしてから胃腸の活動が落ち着くといわれるまでの時間です。
消化活動が活発なときは、脳が眠ろうとしても休息状態には入れません。良質な睡眠を得るのは困難でしょう。胃の中に食べ物が無いときの方が脳はオフモードになりやすく、深い眠りを得やすくなります。
どうしても食事が就寝時刻に近くなってしまう場合は『消化のよい食べ物』がおすすめです。油分が少ないものや、やわらかく煮た野菜などが望ましいとされます。
入浴について
人がリラクゼーションを感じているときは交感神経よりも『副交感神経』の働きが優位になっていると考えられます。お湯に浸かると体がほぐれて内臓も温まり、副交感神経が活性化しやすくなるでしょう。
また『体を温めること』も、睡眠には有益といわれます。人は体内深部の温度が下がると、眠気を感じるようになる仕組みです。お風呂で温まった体が冷えるころには眠気が生じ、入眠がスムーズになると考えられます。
ただし、湯温はぬるめに設定することが大切です。約40℃のお湯にのんびりと浸かるのがよいでしょう。
寝る直前のNG行動
寝る直前に避けたい行動としては、『アルコールやカフェインの摂取』や『デジタル器機の使用』が挙げられます。「寝る前のアルコールは寝付きをよくする」と言っている人も見かけますが、実際には眠りが浅くなりがちです。
アルコールを分解する『アセドアルデヒド』が深い眠りを阻害し、睡眠のリズムを崩してしまいます。夜中に何度も目覚めるおそれがあり、快眠を得にくくなるでしょう。
寝る前に紅茶やコーヒー、チョコレートなどを口にすることでも、寝付きが悪くなってしまうかもしれません。共通して含まれる『カフェイン』は、覚醒効果があるといわれます。
また、寝る前のスマホやタブレットは『ブルーライト』の影響が懸念されるでしょう。強い光のためメラトニンが朝の光と勘違いし、分泌をやめてしまうおそれがあります。脳が覚醒し、せっかく訪れた眠気が消失してしまうかもしれません。
これで快眠!簡単セルフケアを紹介
近年は快眠への意識が高まっており、さまざまなセルフケア方法が見られます。ちょっとした隙間時間に取り入れれば気持ちがやわらぎ、快眠につながるかもしれません。
気軽にできるセルフケアの中から、おすすめの二つを紹介します。
足のマッサージ
東洋医学によると血液の通り道にはいくつものポイントがあり、『ツボ』と呼ばれます。肩こりのツボ・腰痛のツボなどさまざまありますが、不眠によいとされるのが『足裏』にあるツボです。
『失眠(しつみん)』と呼ばれるもので、かかとのふくらみの中央あたりにあります。手を握った状態で約20回軽く叩きましょう。
不眠のツボとしては代表的なものですが、足裏のためうまく力が入らないかもしれません。ツボ押しではありませんが、足首を湯たんぽや温タオルなどで温めるのもおすすめです。
首や肩のストレッチ
軽いストレッチをすると、筋肉の緊張がほぐれます。夜にのんびりと取り組めば、心地よさで気持ちもやわらぐでしょう。リラックスした状態では副交感神経が優位になり、入眠しやすい状態に近づけます。
日中のデスクワークや授業でできた首のコリは、浴室でできる『首もみ』のストレッチを試してみましょう。シャワーをうなじに当てたまま、うなじの横にあるくぼみをゆっくりと上下に動かすだけです。
肩甲骨を回したり腕をまっすぐ伸ばしたりするストレッチなら、寝室でも行えます。筋肉をほぐすように、ゆっくりと進めましょう。就寝前に行うのがおすすめです。
快適な睡眠のための寝具とは
快眠のポイントは寝具にもあります。どんなに体調や環境を整えても、寝具の状態が悪ければ快眠を得るのは難しくなります。快適な睡眠を得るにはどのような寝具を選べばよいのでしょうか?
枕のポイントは高さ
枕を選ぶ時は高さに注目しましょう。「マットレスと首との角度は約5°になるのが理想」といわれています。仰向きの状態で、ほんの少しうつむくような傾斜が目安です。
枕の高さが合っていると、理想的な寝姿勢を再現しやすいといわれます。一般的にいわれる理想的な寝姿勢とは、『立ち姿勢』に近いものです。枕に頭を横たえたとき、立ち姿勢に近い体勢になるかどうかチェックしてみましょう。
自分に合った枕の高さを選べると、頸椎にかかる負担軽減や気道を塞ぐ体勢を回避できます。
マットレスは硬さ
マットレスを選ぶときは立ち姿勢を再現しやすい硬さを意識するとよいでしょう。人の背骨は『なだらかなS字』を描いているのはご存じでしょうか?寝ているときはS字が崩れないよう意識すると、体の一部分への負担がなく寝やすいと考えられます。
柔らかすぎるマットレスは、重みのある胸部と腰部が深く沈みがちです。背骨が曲がってS字カーブの隙間が大きくなり、体への負荷が増加しやすくなります。腰に痛みを感じる懸念があるでしょう。
一方で硬すぎるマットレスにすると骨あたりが強く、痛みを感じるかもしれません。マットレスの耐圧を感じやすく、寝心地の悪さを覚えることもあります。
マットレスは、硬すぎず柔らかすぎないものを選びましょう。
掛け布団は機能性
掛け布団の役割は『睡眠中の低体温を防ぐこと』と『体から出る汗を吸収し透過させること』があげられます。掛け布団は、吸湿性と放湿性の高いものが望ましいでしょう。
人の体は睡眠中、体温を下げるために汗をかきます。このとき掛け布団がないと、体が冷えてしまうかもしれません。吸湿性と放湿性をもった掛け布団は汗による冷えや蒸れのリスクを軽減し、体温や湿度を一定に保ってくれるでしょう。睡眠中のコンディションを整えるうえで、掛け布団は非常に重要といえるのです。
ただし、あまりに重すぎたり体に沿わなかったりする掛け布団では、寝苦しいうえ『寝返り』を打ちにくくなります。寝返りも体温調節や同じ箇所への体圧を分散させるなど、質のよい睡眠がとるために必要な要素の一つです。
寝返りを妨げにくい『軽量かつフィット感のある』掛け布団をおすすめします。
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寝具を正しく使おう
寝具選びを適切に行ったら、次は正しい使用方法をチェックしましょう。よい寝具は、正しい使い方で最大限機能を生かしたいものです。寝具を適切に使い、快眠を手に入れましょう。
枕は首の隙間を埋める
枕は『マットレスと後頭部~首にかけての隙間』にフィットするものを選ぶとよいでしょう。マットレスと首の間に隙間ができたまま眠ると、頭の重みが特定部位に集中しやすくなります。
一晩中この状態が続けば後頭部が圧迫されて血流が悪くなり、不快感や痛みを覚えるかもしれません。枕は首と頭の隙間を埋めるように配置し、頭の重みを分散させるのが望ましいといえます。
シーツやパッドの順番
布団ではなくマットレスに寝ている場合は、シーツやパッドの重ね方に注意が必要です。一般的にシーツやパッドの順番は、下から『マットレス→マットレスプロテクター→ベッドパッド→シーツ→敷きパッド』と重ねるのが適切といわれます。
マットレスプロテクターとは、マットレス全体を包めるカバーのことです。ベッドパッドは、マットレスの上部に掛けて四辺をゴム紐などで固定します。
このときもしも湿気が気になるならば、マットレスの下に『除湿シート』など配置してもよいでしょう。
すべてをそろえなくてはいけないわけではありませんが、マットレスをそのままで使うのは避けたいところです。汚れが直接付くと、なかなか落とせないうえにダニやカビが発生するおそれもあります。
最低限の装備で済ませたい場合は『ベッドパッド』か『マットレスプロテクター』のどちらか一つでも装着してはいかがでしょうか?
おすすめの快眠枕
快眠につながる枕の購入を検討している人は、人気や評価の高い枕から候補を探してみましょう。形状や吸湿・放湿性にこだわった枕を三つ紹介します。
True Sleeper ネックフィット ピロー
頭部とマットレスの隙間にぴったりフィットするように、首のラインに沿いやすい形にデザインされています。首や肩周りへの負担軽減が期待でき、理想的な寝姿勢を再現しやすいでしょう。
枕が隙間にフィットするカギは『ウルトラ ヴィスコエラスティック』という低反発ウレタン素材です。弾力性や復元力に富み、頭の重みを分散しやすいとされています。
仰向きに寝るだけで、首筋のラインがキープされやすくなるでしょう。カバーのみ、取り外して洗濯可能です。
TEMPUR オリジナルネックピロー
仰向き寝と横向き寝のどちらでも、背骨が真っ直ぐになりやすいようにデザインされています。頭を横たえれば首~頭部のラインに沿いやすく、理想的な寝姿勢で眠りやすいでしょう。
枕の低反発素材は『NASA』によって生み出され、『TEMPUR』によって完成されたものだそうです。体温、体形、体重に反応し、一人ひとりに合わせて変化するため高いサポート力やフィット感が期待できます。
頭部や頸部がしっかりとサポートされ、快適な寝心地に近づけるでしょう。こちらもカバーは洗濯できます。
EMOOR リッチダウンピロー
『ダウン50%』と『フェザー50%』が配合されたリッチな天然素材の枕です。硬すぎず、頭部を包み込むようなフィット感が期待できるでしょう。頭部と首の隙間もきちんと埋めてくれるふんわりとした厚みがあります。
枕の側生地は、綿100%です。きめ細かい生地は肌当たりがよいうえ、羽毛の吹き出しも発生しにくい作りとなっています。枕の製造は羽毛の洗濯から縫製まで、日本の工場での作業です。『メイド・イン・ジャパン』にこだわりたい人には、ぴったりではないでしょうか?
おすすめの快眠マットレス
マットレスは数万~十万以上の大きな買い物になるため、失敗せずに選びたいところです。快眠に導いてくれると評判のマットレスを三つみてみましょう。
フランスベッド MW-200αハード
スプリングの上にはウレタン素材の『ハードフォーム』と『ウール綿』などがレイヤーになっています。硬めながらもしなやかな弾力性があると好評です。
特に上層にあるウール綿は吸湿発散性が高いといわれており、多湿な日本の気候にも適していると考えられます。天然素材のクッションは優れた復元力もあり、キルティングのフィット感も楽しめるでしょう。
『フランスベッド』の独自技術を使ったスプリング構造は、高い通気性が特徴です。マットレスに熱をため込みにくく、快適な寝心地を実感できるでしょう。マットレスは小まめに干せないため、通気性が高いのは大きな魅力です。
AiR SLEEPTECH エアーSI
優れた体圧分散効果と通気性をもつマットレスです。『東京西川』独自の『特殊立体クロススリット構造』が採用されており、マットレス表面には約1860個もの凹凸があります。
体を面ではなく点で支え、体圧が1点に集中するのを防ぐ設計です。ウレタンには、汗や湿気などをすばやく分散するために縦・横それぞれスリットが入っています。
マットレスを干す手間もかからず、お手入れはしやすいといえるでしょう。硬めの感触が好きな人には、ハードタイプもあります。
エアウィーヴ ベッドマットレス S02
独自素材『エアファイバー』を使用したマットレスです。体圧分散効果に優れており、負荷が体の1点に集中しないような適度な反発力です。仰向き・横向きでも体が沈み過ぎず、理想の寝姿勢を保ちやすくなるでしょう。
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中の素材は3分割になっており、水洗い可能です。カバーだけでなく、マットレス本体も清潔に使えるでしょう。
まとめ
快眠できないと感じている人は、生活習慣を見直してみると状況が改善されるかもしれません。規則正しい生活と適度な運動などを少しずつでも始めてみてはいかがでしょうか?
また、質のよい睡眠にためには寝具も重要です。体に合っていない寝具を使っている場合は『通気性』や『体圧分散』などに注目して、新しい寝具を選びましょう。
快眠を得られれば、日中眠気が続いたり前日の疲れを引きずったりすることは少なくなるかもしれません。夜はぐっすり眠って、はつらつとした毎日を手に入れましょう。
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